現代人は心のリラックス習慣を ●いま疲労に国民の関心が高い●
メンタル・ヘルス研究所 国吉 空
ストレスフル社会を象徴するエピソード
平成15年6月23日、夕方のNHKニュースは、次のような出来事を報じた。
この日、厚生労働省が、労働者自身が疲労の蓄積をセルフチェックするツールとして作成した「労働者の疲労蓄積度・自己診断チェックリスト」をホームページ(末尾にHPアドレスを表示する)上に開示したところ、すぐに全国からのアクセスが多数でパンク状態になった、と。
疲労について国民的関心の高さをうかがわせる出来事であった。翌日の毎日新聞夕刊は〔「過労死診断」働き過ぎ?ダウン、ホームページアクセス殺到〕との見出しでこのことを報じた。
近年、疲労感を訴える人が増えている
当研究所が長年行っている「働く人のための心の健康調査」の経年変化をみても、近年は疲労感の訴えが強まっている(下図)。
特に、仕事の負荷が大きくなる30才の年代で疲労感を訴える人が著しく多くなっている。
また、厚生労働省が5年おきに実施している労働者健康状況調査でも「普段の仕事で疲れる」が7割を超え、近年の調査になるほど疲労感を訴える人が多くなっている。
それではなぜ、近年疲労感の高まりが見られるのであろうか。その理由の一部としては、
・バブル以降生活の不安感が増大、
・ライフスタイルの変化、
・疲労の解消や回復がうまくできない、
・睡眠時間が少ない(国民平均7時間未満)、
ことなどが挙げられよう。

リラックスしにくいライフスタイル
これらの理由に共通していることは、リラックスすることを意識(努力)しないとリラックスできにくい状況にあることを示している。
私たちのライフスタイルには、疲労やストレス(心身の緊張や不安の状態)を取り除くリラックスできる時間や空間が組み込まれているはずなのである。現代のように複雑多様化している社会においては、リラックスすることが難しくなっているといえよう。
限度を超える時間外労働は疲労蓄積の一因
職場環境的には、働く人の時間外労働が増加傾向にある。時間外労働は、仕事による負荷を大きくし過剰に負担を感じさせるだけでなく、睡眠や休養の機会を減少させる。
厚生労働省は、これまでの調査研究の成果を踏まえて医学的知見をもとに推定した、「時間外労働時間と脳出血などの脳血管疾患や心筋梗塞などの虚血性心疾患の発症などの健康障害のリスクとの関連性」を取り上げた。平成14年から、時間外労働時間(1週当り40時間を超える部分)が月45時間を超えていれば、労働時間の短縮を検討するよう企業などの産業現場に呼びかけている。
心のリラックス習慣をもつ
疲労を蓄積させないためには、仕事の過剰な負荷を減らし、一方で睡眠や休養・休息をしっかり取る必要がある。
また、仕事以外のライフスタイルに原因があって疲労感や不調感を訴える場合も見受けられるので、睡眠や休養・休息などを見直すことも必要であろう。休息という観点から各人ができることとしては、日常生活の中で、ちょっとした時間(1−5分位)を利用して、《心のリラクセーション》を実践することがよい。この実践を継続していくと、頑固な疲労の回復はもとより、活力や集中力の向上にも役立てられる。
参考:「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト」が開示されている厚生労働省HPは、
【http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/05/h0520-3.html】




