メンタル・ヘルス研究所社会経済生産性本部

事故・ミスとメンタルヘルス

メンタル・ヘルス研究所 茨 昌明

JMI健康調査の質問「小さな事故や失敗を何度もしたことがある」の応答は、労働災害の死亡件数と良くリンクする。この結果は、ハインリッヒの法則を再び証明しているように思われる。1:29:300の率で「重症・死亡事故」:「軽症事故」:「事故にならない事故」があるというものだ。JMI健康調査の応答は「事故にならない事故」を表しているといえないだろうか。(グラフ1参照)
グラフ1

JMI健康調査において、「小さな事故や失敗を何度もしたことがある」という質問の回答状況の違いによる精神健康の比較を行ってみたものが次ページのグラフである。はいと答えた方の精神状態がいいえと答えた方と比較して、格段に不安定な状態になっているのがみてとれる。(グラフ2参照)
グラフ2

「事故にならない事故」を起こしている方は、「小さな事故や失敗を何度もしたことがある」という質問にはいと答え、精神状態が不安定になっている可能性が高いということが考えられそうである。

事故発生の事由のひとつにヒューマンエラーの問題がある。人の予期しない不安全行動が引き起こしてしまう事故である。人は何故このような行動を行ってしまうのであろうか。事故後、よく聞かれる言葉は「つい、うっかりして」である。これは何だろう。不注意、つまり集中力を欠いた姿と考えられる。精神状態が不安定になり、ついうっかりしてしまう、このことが事故の引き金になっているのではないだろうか。

労働災害を減少させる手段として、精神状態を安定させるという方法論を用いることも考えてみる必要があるかもしれない。


※JMI健康調査とは
JMI(Japan Mental Health Inventory)健康調査は、産業界と学識経験者の献身的な努力により、わが国でいち早くつくられた「働く人のメンタルヘルス向上のための心の定期健康診断システム」です。これまで延べ270万人の方々のご利用をいただいております。企業・組織で働く人が、質問票に答えていただき、その結果に基づくアドバイスを個人と組織それぞれに提供します。個人への報告は親展郵便にて本人のみに、組織への報告は、10名以上の集団のデータとして報告されますので個人のプライバシーが外に漏れることは絶対にあり得ません